専修紹介【体育専修】 教育学部
専修紹介【体育専修】
保健体育に関する実践的、かつ科学的根拠に基づいた実技と専門科目を通して、保健体育で何を目指すのか(目標論)、何を考えるのか(内容論)、いかに教えるのか(方法論)を学びます。
近年、運動・スポーツは、「する、みる、支える、知る」などの多様な関わり方があることから、障害の有無や年齢、性別、国籍などを問わない共生社会を実現するためのユニバーサル・コンテンツとしての期待が高まっています。そんな運動・スポーツを通して教育を行う保健体育の目的は、全ての子どもたちが倒立前転を完璧に演じ、特大のホームランを打ち、弾丸シュートを決められるようになることではありません。真の目的は、個性豊かな子どもたちが多様な運動・スポーツに挑戦し、最初よりも「できる喜び」を味わい、生涯にわたって積極的に運動・スポーツに親しむ資質・能力を育成することです。
体育専修では、実践的、かつ科学的根拠に基づいた実技(12種)と専門科目(8領域)を通して、保健体育で何を目指すのか(目標論)、何を教えるのか(内容論)、いかに教えるのか(方法論)を学びます。そして、子どもたちが「前より運動が上手くなれて楽しかった。またやりたい!」と思えるような授業を実践する保健体育教師を養成しています。
学びのポイント
授業の特徴
専門科目では、体育の原理、教育法、社会学、運動学、生理学、心理学、保健学、衛生学という8領域の授業を行い、科学的根拠に基づいて授業を構成する力を育成します。また実技では、体づくり運動、陸上運動、器械運動、ネット型・ゴール型・ベースボール型のボールゲーム、剣道・柔道、水泳、ダンス、野外活動、スキーという12種目を行い、自分の専門種目ではない運動を教えられる実技力と指導力を育成します。
専門ゼミ・卒業研究
専任教員1名が担当する学生数は2~8名と少人数であり、主体性と自律性のバランスに配慮した個別的な研究指導を行っています。専門ゼミでは、学術論文の読み解きはもちろん、子どもへのレクリエーション指導、川辺での水難事故防止指導、運動が苦手な子の運動会開催、スポーツタレント発掘事業などの学外教育活動に参加しながら、実践性と学術性に富んだ学習・研究を行います。
卒業研究では、上記の学習・研究を土台として個々の興味関心に基づいた研究テーマを設定し、将来の教育現場で活用することができる科学的知見を構築していきます。そして、4年生の卒業研究発表会において、その研究成果を教員と在校生の前で発表します。
教員
多彩な学術研究分野と専門種目を有する6名の専任教員と10名以上の非常勤講師が授業を担当しています。専任教員の学術研究分野は、体育科教育学、運動生理学、運動学、体育心理学、発育発達、学校保健学であり、保健体育の学習・学術研究分野を網羅しています。
卒業後の進路
小学校の教師や中学校・高校の保健体育教師に就く学生が卒業生の70~80%を占め、教員採用試験の合格率は毎年80%を超えています(平成30年度以降)。特に、公立高校の保健体育教師になるための教員採用試験の倍率は数十倍と非常に高いですが、現役、または卒業後3年以内に合格する者を複数輩出しています。また、保健体育の学術研究を深めるために大学院に進学する学生や高倍率の公務員試験に合格する学生が毎年多数います。
目指すゴール
小学校、中学校・高校(保健体育科)の教諭免許取得を目指す中で、体育・スポーツ・保健に関する専門的知識と実践的指導力ならびにそれらに対する探求心を有し、児童生徒の健康で安全な生活と豊かなスポーツライフの実現に寄与する教師を育成します。
取得可能な資格
小学校、中学校・高等学校(保健体育)の第一種免許を卒業と同時に取得可能です。
授業科目
PICK UP CLASS
ピックアップ授業
運動生理学
正しく楽しい体育の授業のために最新の運動生理学を学ぼう!
運動前に静的なストレッチをすると瞬発力が下がります。
乳酸は疲労物質ではなく心臓や筋肉のエネルギー源になります。快速球を投げるには柔軟性が不可欠です。激しく長く走らなくても持久力は上がります。このように、近年、スポーツ科学が大きく進歩し、これまでの常識が覆されています。科学的には正しくない運動は、期待するほどの効果が得られず、子どもたちを危険にさらすことになります。保健体育の教師は、最善の科学的根拠に現場経験や子どもの願いを融合し、正しく楽しい授業を実践するために、最新の運動生理学を学び続ける必要があるのです。
中等体育実技(剣道)
中学・高校の体育教師として剣道の授業を行うための知識や技能、武道としての歴史や精神、その指導方法などを学びます。足さばきや基本打突などの基礎を身に付けます。早い段階で自由に打ち合う稽古を行うことで、実践的に技術を体得。学生同士の教え合いも積極的に行うことで、指導力も習得できます。
初等体育Ⅰ(器械運動)
器械運動を教える際、「何が正解なのか」がはっきり分からずに困っている教員も多いと聞きます。学生には、それぞれの技の動きの仕組みを教え、「良い動き」と「課題のある動き」の判断ができるように指導。小学校体育で行う器械運動について、安全な指導、苦手な児童への段階的な指導ができる力の獲得を目指しています。
時間割例(一年生前期)
曜日 | 時限 | |
---|---|---|
月
|
1 | 宗教学Ⅰ |
2 | 中等体育実技Ⅻ(水泳) | |
3 | ||
4 | 初等音楽Ⅰ | |
5 | ||
火
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1 | スポーツⅠ |
2 | ||
3 | 中等体育実技Ⅰ(体つくり) | |
4 | 初等教科教育法(理科) | |
5 | ||
水
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1 | 基礎セミナーⅠ |
2 | 教師論 | |
3 | ICT基礎 | |
4 | ||
5 | 学校ふれあい体験・介護等の体験(事前事後指導)・・・日程別途掲示 | |
木
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1 | 【教養】歴史学 災害と危機管理 経済学 食生活論 ジェンダー論 |
2 | 【教養】心理学概論 家族と社会保障 キャリアプラン 異文化論 天文学 レクリエーション 数学 |
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3 | 体育学基礎Ⅰ(原理) | |
4 | 初等図画工作Ⅰ | |
5 | ||
金
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1 | 教育心理学 |
2 | 【教養】ドイツ語コミュⅠ フランス語コミュⅠ 中国語コミュⅠ ポルトガル語コミュⅠ 韓国語コミュⅠ | |
3 | 教育基礎論 | |
4 | 英語コミュニケーションⅠ | |
5 | ||
集中講義 |
※開講科目・
卒業研究
運動学
- 投能力に対する身体部位の貢献度の相違
- ボールキック能力の一側優位性における動作の相違
- 競泳における重心位置の異なるスタートの速度比較
- バスケットボールにおけるパスとキャッチミスが起こる要因について
- 投動作向上のための指導方法と課題
- ソフトボール型における貢献ポイントについて ~種々の因子が及ぼす影響~
- サッカーにおけるペナルティキックに関する研究 ~様々な因子が及ぼす影響~
- 打撃における長打を生む因子と飛距離に変化を起こす因子についての調査
運動生理学
- 睡眠時間の長短が早朝の運動パフォーマンスに与える影響
- アクティブレストの違いが間欠的運動能力に及ぼす影響
- 香り刺激が運動後の認知機能と自律神経機能に及ぼす影響
- 温熱刺激による最大筋力の変化
- 大学バドミントン選手における水分補給と人体の関係
- 出生1年未満の乳児における身体と体力の発育過程 ~高頻度の縦断的観察から~
学校保健
- ゲームとスマートフォンに対する意識と利用実態に関する研究
- 若者のダイエットに対する認識
- 健康の保持増進に関する研究 ~健康調査からみた学部・学科ごとの比較~
体育科教育
- 小学校の体育授業における児童の「やる気」を喚起する教師の言葉かけ
- 学校体育における走り高跳びの指導方法に関する検討 ~器具・場・単元計画に着目して~
- 児童期における「足の速さ」が他者への好意感情に及ぼす影響
- 小学生を対象とした意欲的に運動に取り組むことのできる体育の授業づくり ~小学5年生のマット運動に焦点化して~
体育社会学
- 学校における働き方改革による部活動への影響と今後の課題 ~公立高校野球部員への意識調査を通して~
- 体育授業におけるリスク管理について
- イベントの企画と立案・実行について
体育心理学
- 目標設定の主体の違いがタイピング及び達成目標に与える影響
- スポーツオノマトペが運動パフォーマンスに与える影響
- 成功イメージを用いたメンタルプラスティスの有効性の検討
- 大学生の運動量の違いによるメンタルヘルス及びライフスキルの差の検討
- 集団目標とコミュニケーションの影響 ~運動パフォーマンス・感情状態・集団効力感・対人満足感を用いた検討~
- 言葉がけが及ぼす心理状態と運動パフォーマンスへの影響
- 女子大学生におけるスポーツと人格形成に関しての意識調査
- リズムジャンプの準備運動効果と集中力の向上性について
就職・進路
実績 令和5年度
就職 | 人 |
---|---|
小学校教諭 | 9 |
中学校教諭 | 0 |
高等学校教諭 | 0 |
幼稚園教諭 | 0 |
就職/進学 | 人 |
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企業・団体 | 5 |
公務員 | 0 |
施設 | 0 |
大学院進学 | 4 |
教員紹介
専門分野 | 研究課題 | 最終学歴 | ||
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稲垣良介 | 身体教育学 | 保健体育科の教科教育内容 | 上越教育大学大学院 教科・領域教育専攻生活・健康系コース(保健体育) | 詳細 |
小栗和雄 |
運動生理学、発育発達 | 運動による腸内細菌の変容、発育期メタボリックシンドロームの環境的・遺伝的素因、ジュニアアスリートの形態・体力の発育発達特性 | 岐阜大学大学院医学研究科社会医学系専攻博士課程修了、医学博士 | 詳細 |
竹本康史 | 発育発達、健康教育 | レクリエーションに関する研究、高齢者の生きがいに関する研究、ベースボール型に関する研究 | 日本体育大学体育学部健康学科 | 詳細 |
大窄貴史 | 学校保健、保健科教育 | 施設における受動喫煙対策の現状と課題、保健科教育に関する内容や方法の検討 | 中京大学大学院体育学研究科健康科学専攻博士課程単位取得退学(体育学修士) 愛知学院大学心身科学研究科健康科学専攻在学中 |
詳細 |
煙山千尋 | スポーツ心理学、 体育心理学、健康心理学 |
・女性アスリートの三主徴(Female Athlete Triad)の予防や女性アスリート特有のストレスに関する研究 ・アスリートの親・指導者との依存と適応に関する研究 ・運動遊びにおける「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の育成に関する研究 |
桜美林大学国際学研究科環太平洋地域文化専攻 博士課程修了、博士(学術) | 詳細 |
熊谷慎太郎 |
スポーツバイオメカニクス、運動学 | 体操競技・器械運動の技術向上および指導法、動作の客観的要因と主観の関係 | 中京大学大学院体育学研究科応用スポーツ科学系専攻 博士前期課程修了、体育学修士 | 詳細 |