専修紹介【理科専修】 教育学部
専修紹介【理科専修】
科学についての専門性を高めるとともに、理科教員として必要な理科教育の理論や理科指導法を習得することを目指しています。
1・2年次は、物理、化学、生物、地学の教科の本質的な理解をより深め、同時に科学を学ぶ意味を捉え直し、これらを基盤として、児童・生徒の思考や理解に応じた指導法などを学びます。3・4年次はゼミに所属し、科学や理科教育に関する課題を自ら設定し、研究を進める中で、問題解決能力、コミュニケーション能力など、将来にわたって必要とされる汎用的能力を身につけていきます。
学びのポイント
授業の特徴
物理・化学・生物・地学といった科学の専門性を高める授業とともに、理科教育に関する授業を通して、教員として必要な知識・技術を身につけていきます。
専門ゼミ
3年次から物理・化学・生物・地学・理科教育・初等理科教育のいずれかのゼミに所属し、指導教員やゼミの仲間とともに専門性を高めていき、4年次の卒業研究に発展させていきます。
教員
6名の専任教員が在籍し、学生の指導に当たっています。
卒業研究
4年次の1月には卒業論文を提出するとともに、卒業研究発表会を行います。
目指すゴール
時代の変化に応じて、求められる授業スタイルや教育方法等を自らが取り入れ、成長し続ける教員となることが1つのゴールです。例えば、教授型の授業から子どもの学びを支援するファシリテータ型の授業へと新しい授業観に基づく授業を行うことができる教員となることです。そのためには、卒業して教壇に立つことだけではなく、その後も学び続け、成長し続けることができる教員となること、そして、将来、学校や地域の中核となって活躍する教員としての資質・能力を身につける必要があります。
また、自ら学ぶ社会人として、学校教育以外の分野でも活躍できる人材を育成することも目指しています。
授業科目
ピックアップ授業
地学Ⅰ・Ⅱ&地学実験Ⅰ・Ⅱ
地学の授業では、宇宙、地球、生命、環境など私たちを取り巻く自然のしくみと歴史について学びます。学外実習や実験・観察といった体験を通じて、さまざまな知識を総合して考察するための方法とスキルを身に付けます。
初等理科Ⅰ・Ⅱ
振り子、手回し発電機、メダカの卵の観察、空気鉄砲、いずれも小学校時代に学習した記憶があるでしょう。体験したことと、授業を行うことは全く立場が異なります。小学校で行う100近い観察・実験のなかから、60をピックアップし、初等理科教育でどのように扱うか、児童の自然認識や問題解決の授業方法と関連づけて学びます。
化学Ⅰ・Ⅱ&化学実験Ⅰ・Ⅱ
理科の授業でビーカーのなかの水をバーナーで沸かすときには沸騰石を加えると学習します。家庭で鍋のなかの水を沸かすときに沸騰石を加えるでしょうか?この疑問に答えるには原子、分子の集団(物質)のふるまいを扱う化学熱力学の知識が必要です。
化学熱力学の視点から、小中高等学校の化学を捉え直し、暗記と計算の化学から本質を理解する化学への転換を目指す講義、実験を行います。
中等教科教育法Ⅰ・Ⅱ(理科)
高校まで学んできた教科としての理科ではなく、その教育について学びます。たとえば、「なぜ理科を学ぶのか?」「理科を学ぶ意義は?」など、理科教育の目的、目標や方法などを歴史的変遷や世界的特徴として学びます。それに加え、人間は自然をどう捉え、科学をどう認識しているのかなど自然認識や科学概念などと理科教育との関係を学びます。そして、科学的内容だけでなく科学の本質や科学についての理解を深め、理科教育に対しての基礎・基本的な見方や考え方を養います。
ピックアップゼミ
地学ゼミ
卒業研究に向けて、地球、宇宙、環境、理科教育など、興味のあるテーマを選んで文献調査を行って課題を絞り込み、野外調査や実験につなげて卒業研究へと発展させていきます。天体現象のデジタルコンテンツ開発や火成岩セットや火山灰鉱物セットの開発などを通じて、教育委員会や学校現場との連携を目指した卒業研究から、銀河の形態や進化に関する専門的な研究まで、ゼミ生一人ひとりの興味・関心に応じて、さまざまな活動を行っています。
初等理科ゼミ
小学校の理科教育に関するテーマを設定し、教員や児童へのアンケート調査、教材開発、開発した教材による小学校での検証授業等を通して、卒業研究としてまとめていきます。東京や福岡の小学校と大学のオンライン授業,他の都道府県の授業参観,プログラミング教育の出前授業や教員研修会へのアシスタントとしての参加、校内研究の授業参観、小学校の研究発表会への参加など、学校現場との交流を盛んに行うのが特徴です。
理科教育学ゼミ
理科教育学ゼミの卒業研究は、個人個人1年以上かけてテーマを決めていきます。卒業研究で「探究」し、理科教育を通して教育課題を中心としながらも社会的な問題とつながりを持ちながら解決しようとしています。わたしたちの先輩達も、同じように理科教育を通してジェンダー、環境、健康やインクルーシブ教育などに取り組み研究してきました。研究を通して明らかにしたいこととSDGsとのつながりを捉えその達成に向けて研究を発展させたいと考えています。
ゼミ
物理・化学・生物・地学・理科教育・初等理科教育の6つのゼミがあります。
時間割例(一年生前期)
曜日 | 時限 | 学期 |
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月
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1 | 【教養】映画学 異文化論 現代環境科学 数学 |
2 | スポーツⅠ | |
3 | 英語コミュニケーションⅠ | |
4 | 教師論(幼・小・中・高) | |
5 | ||
火
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1 | 地学Ⅰ |
2 | 化学Ⅰ | |
3 | ||
4 | 生物学Ⅰ | |
5 | ||
水
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1 | 基礎セミナーⅠ |
2 | ||
3 | ICT基礎 | |
4 | ||
5 | 学校ふれあい体験・介護等の体験(事前事後指導)・・・日程別途掲示 | |
木
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1 | 宗教学Ⅰ |
2 | 【教養】心理学概論 家族と社会保障 キャリアプラン 異文化論 天文学 レクリエーション 数学 |
|
3 | 物理学Ⅰ | |
4 | 初等図画工作Ⅰ | |
5 | ||
金
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1 | |
2 | 【教養】ドイツ語コミュⅠ フランス語コミュⅠ 中国語コミュⅠ ポルトガル語コミュⅠ 韓国語コミュⅠ | |
3 | ||
4 | ||
5 | ||
集中講義 |
※開講科目・
卒業研究
地学
- 海岸漂着物の調査と環境教育の実践
- 走査型電子顕微鏡による花粉の観察とデータベースの作成
- 銀河の形態と星形成率
- 偏西風波動モデル実験のビデオ撮影
- 小学校理科天文分野における対話的学びを促すデジタルコンテンツ開発
- 溶岩流の形態を支配する要因を探究するための実験教材の研究
物理学
- 物理教育におけるハンドスピナーの有用性
- 物理演算エンジンの教育への利用
- 仕事の分野における教材としてのカテナリー
- 外野手のバックホームを最短時間にするための物理的考察
- ブラックホール近傍での鉛直投げ上げ運動における相対論的な時間の遅れについて
- モノポールの存在を仮定したマックスウェル方程式とローレンツ変換
初等理科教育
- 小学校理科におけるプログラミング教育〜Ozobotの導入〜
- プログラミング教育における「micro:bit」の教材性について
- 小学校第4学年「空気の性質」における推論を促すためのばねを使った教材の開発
- 小学校理科でのエネルギー概念の学習の必要性
- ICTを活用した理科実験の安全指導
- 高学年児童の理科への興味
- 関心の向上~理科新聞と音声再生装置を用いて~
- 理科教育における人間性の育成について
- 小学校理科教育におけるドローンの活用について
- 校外学習における博学連携の充実に向けて ~中津川市鉱物博物館を例に~
- 教員志望学生及び現職教員の採点における根拠の脆弱性 ~小・中学校理科「体積・質量・密度変化の表現」に焦点化して~
- 学校飼育動物としてのミナミヌマエビの教材価値
- 教員志望学生に向けての野外観察研修プログラム
- 顕微鏡使用場面における対話的学びの促進
- コイルモーターの製作過程の見直し及び教具の開発
化学
- 教科書から削除された実験に関する一考察~その科学的根拠について
- 中学理科に掲載されたダニエル電池の教材化に関する一考察~化学熱力学の視点から
- 中和滴定において、フェノールフタレイン溶液を指示薬としたときの終点における退色の原因についての一考察
- 水の電気分解の後に生じる起電力に関する一考察
- イオン概念の形成に関する一考察
- 銅の酸化実験に関する再検証
- 銅と希塩酸の反応における溶存酸素の影響についての一考察
- 密度拡散法を用いたミョウバンの結晶づくりに関する一考察
理科教育学ゼミ
2022年度
- 簡易光学台を用いた教材と作図についての実践
- 火災・避難の中の理科学習 ―火災から生命を守るために―
- エンジニアリングを中核としたSTEM授業デザイン
- 月の満ち欠けの 360 度画像開発と実践
- 中学校理科生物分野における「機能-構造」概念を育成する教材の開発とその評価
- ー心臓の血液循環機能を働かせる構造を実現するものづくり―
生物
- 赤外線照射システムを用いたゼニゴケ葉状体の細胞系譜解析
- シロイヌナズナ根における熱ショック誘導を用いた単一細胞遺伝子発現
- ダンボールコンポストで取り組むSDGs
- 簡易滅菌法による植物組織培養
- 大腸菌自然突然変異株に視る進化
就職・進路
地学ゼミ
岐阜県小中学校教員、名古屋市中学校教員、愛知県小中学校教員、大学院進学など
初等理科ゼミ
・岐阜県,名古屋市,愛知県,三重県の公立小中学校教員
・大学院進学
・一般企業,学習塾の講師として,教育に関わりたいという学生が毎年います。学校教育外で教育に関わり,経験を積んで,学校現場に行きたいと考えた学生さんもいました。
化学ゼミ
岐阜県小中学校教員,愛知県小中高等学校教員,名古屋市小中学校教員
筑波大学大学院教育研究科、三重大学教職大学院など
理科教育学ゼミ
ほとんどの卒業生が岐阜県,愛知県・名古屋市,三重県と中心とした小中学校の教員になっています。他にも静岡県,石川県,富山県,滋賀県の教員にもなっています。
採用試験に合格しそれを確保しながら教職大学院に進学する学生もいます。
生物学ゼミ
小中学校教員以外の就職、進路としては、高等学校教員(愛知県他)、各種公務員、民間企業、大学院進学(奈良先端科学技術大学院大学・バイオサイエンス研究科他)があります。
実績 令和5年度
就職/進学 | 人 |
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小学校教諭 | 12 |
中学校教諭 | 10 |
高等学校教諭 | 0 |
幼稚園教諭 | 0 |
就職/進学 | 人 |
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企業・団体 | 1 |
公務員 | 0 |
施設 | 0 |
大学院進学 | 1 |
教員紹介
専門分野 | 最終学歴 | 職歴 | ||
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川上紳一 |
太陽系形成論・地球史、デジタルコンテンツ開発(理科教材データベース) |
名古屋大学大学院理学研究科・博士後期課程・地球科学専攻(理学博士)
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詳細 | |
梶山裕二 |
素粒子論・宇宙論・物理教育 |
金沢大学大学院自然科学研究科博士後期課程・博士(理学)
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詳細 | |
髙木正之 | 初等理科教育、プログラミング教育 | 東京学芸大学大学院教育学研究科理科教育専攻 | 東京都公立小学校教員として勤務 | 詳細 |
寺田光宏 | 科学教育、理科教育における資質・能力育成を志向するカリキュラム開発 自然・科学と人間の相互作用 |
博士(学校教育学)(兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科)
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詳細 | |
浦和博子 | 分子遺伝学・植物生理学・生物教育 |
総合研究大学院大学(自然科学研究機構 基礎生物学研究所)博士後期課程
博士(理学) |
詳細 |