センター長あいさつ DX推進センター
地域のDXを推進するインフルエンサーを目指して
本DX推進センターの名称である「デジタルトランスフォーメーション(DX: Digital Transformation)」は、企業やビジネスの文脈で語られることの多い言葉です。
そのため、一般の方はもちろん、学校教育やアカデミアの世界でも、あまりなじみがありません。おそらく、本学の経済情報学部以外の教職員に「DXを説明できますか?」と質問をしても、答えられる人はごくわずかでしょう。
デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉と概念は、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン氏とアンナ・クルーン氏が"45 Information Technology and the Good Life"という文書でDX仮説(学説)として提唱しました[1]。
しかし、ストルターマン氏らによるこのDX仮説は、哲学的で難解なことから、各方面で様々な解釈を生み、マスコミ等で一般が知るところとなると、「DXって仕事にパソコンとかネットを使うことでしょ?」などと、だいぶ矮小化されて伝わっている現状もあるようです。
経済産業省のDX推進ガイドライン[2]や総務省の情報通信白書等[3]によれば、DXとは、アナログ情報をデジタル情報に変換(デジタイゼーション)し、仕事のプロセスやモデル、組織構造の深部にまでデジタル技術を取り入れるなどして(デジタライゼーション)、新しい社会のモデル、組織のモデル、生活モデルを創出し、私たちの生活や社会そのものを「よりよく変革させること」(トランスフォーメーション)です。
本DX推進センターは、このDXの地域インフルエンサーを目指し、学内のDX推進教育・研究にとどまらず、地域のみなさまが、それぞれのご分野でのDXを実現するための支援を行うシンクタンクとして設立されました。
体制の中核に「AI・データサイエンス事業」を位置づけ、AIやデータサイエンスの専門研究者を配属します。
短期的には、その専門研究者を中心に、AI・データサイエンスを活用できる人材を育成、輩出することを目標とします。
中長期的には、地域の民間企業や自治体等のみなさまからご依頼をうけ、データ解析等を行ったり、特化型AIを開発したり、DX推進に関わる提言書等を作成したりする計画です。加えて、本学経済情報学部はもちろん、教育学部、外国語学部、看護学部、短期大学部と連携し、地域社会のそれぞれの分野におけるDX推進を支援するなど、社会貢献を果たすことを目標とします。
今回、本学の附属機関に「変革」を意味する「デジタルトランスフォーメーション」の名を冠したことは、身内である教職員から保守的と批判されることもある本学にとっては、大きな「挑戦」です。
本学園関係者のみなさんはもとより、地域のみなさまにも、ぜひ本DX推進センターの「挑戦」にご注目いただき、ご指導いただければ幸甚に存じます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)推進センター長
芳賀 高洋
[1]エリック・ストルターマン・アンナ・クルーン"45 Information Technology and the Good Life - Information Systems Research Relevant Theory and Informed Practice ", https://www8.informatik.umu.se/~acroon/Publikationer%20Anna/Stolterman.pdf
[2]経済産業省:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0, https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf
[3]総務省:情報通信白書令和3年版「デジタル・トランスフォーメーションの定義」,
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112210.html