岐聖大通信Vol25 page 9/20
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aaaaaaaaabbbbbbbbbbjunior college短期大学部自由研究i n t e r v i e w覗き穴装置前面装置背面ボタンLEDランプ160140120100806040200映像鑑賞時間(秒)誤信念理解女児男児不通過通過短期大学部専任講師いしだひらく石田開円滑なコミュニケーションに欠かせない「心の理論」とは?日頃、私たちは人との関わりの中で「相手の心を読む」「相手の立場になって考える」といったことを、それほど深く意識することなく、直感的に理解しています。本学の幼児教育学科の石田開先生によると、こうした能力はおおむね3?5歳の幼児期に形成されるのだそう。幼児教育の重要性を再認識させられる、大変興味深いお話を伺いました。自分や他者の心と初めて出会う幼児期。私が専門としている「行動科学」は、人間の行動を広く心理的に研究し、その法則性を見い出そうとする学問です。一見、幼児教育とは関連なさそうですが、実は子どもの認知特性を知る上で重要なヒントがあります。それは「心の理論」と呼ばれる「自分や相手の心を推測する能力」が、4歳頃から機能し始めるという知見。つまり、多くの子と過ごす保育園や幼稚園は、円滑なコミュニケーションに欠かせないこの能力を獲得・発達させる大切な場所のひとつだと言えるのです。「心の理論」が4歳頃から機能し始めることを示す「誤信念課題」という実験の一例をご紹介しましょう。3?5歳児に一人ずつ、絆創膏が描かれた缶を見せ、「中に何が入っているかな?」と聞きます。すると一様に「ばんそうこう」と答えます。実際にはブタのぬいぐるみが入っていて、子どもはもれなく驚くことになるのですが、ここでパペットが登場。「この子(パペット)はまだ缶を開けていないけれど、中に何が入っているって言うかな?」と聞くと、個人差はあるものの4?5歳児のほとんどは「ばんそうこう」と答えます。しかし、3歳児はほぼ例外なく「ブタさん」と誤答してしまうのです。すなわち「他人が、私の知っている事実を知らないために考え違いをする場合がある」ことを3歳以下の子どもはうまく理解できず、4歳になると理解できる子どももいて、5歳以上になるとほぼ理解できるようになります。壁にぶつかった時は、自らの思い込みをなるべく排除してみる。少子化や核家族化など時代の変化により、子どもの“心”を育む上で保育所や幼稚園の果たす役割が以前にも増して大きくなりました。社会の中で生きていくために、他者とのコミュニケーションが不可欠である私たちにとって、「心の理論」を発達させることは非常に重要なことです。その観点で将来、幼児教育の現場で活躍する学生たちにぜひ知っておいてほしいのが「人間は思い込みの動物だ」という考え方。保育や教育の世界では「こうあるべき」とか「先生らしい行動、子どもらしい行動」といった規範意識が強い傾向にあります。もちろん大切なことですが、もともと目には見えない心を持ったヒトは誰しも、思い込みや決めつけから逃れることができないのもまた事実です。仕事をする中で理想通りにいかず、壁にぶつかったり、行き詰まったりすることもきっとあるでしょう。そんな時は、自らの思い込みや決めつけをなるべく排除して、現実の物理現象を客観的・定量的に考察する行動科学の手法を取り入れてみてください。今起きていることの解決策、そしてよりよい保育・教育の方向性が見つかるかもしれません。▲幼児期の競争と協同の発達の過程を検討する「ムービー・ビューアー課題」。写真右の子どもがボタンを押している間、左の子どもは覗き穴から箱の中の絵を見ることができる。「心の理論」を示す「誤信念理解」の実験の様子。▲09