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岐阜新聞 真学塾⑤ 教育学部 理科専修長 川上 紳一
岐阜新聞 真学塾⑤
アンモナイトの謎を探る
コラム 岐阜聖徳学園大学教育学部教授 理科専修長 川上 紳一
中学校の理科の教科書では、三葉虫は古生代に繁栄した節足動物、サメは新生代に繁栄した魚類のなかまであり、アンモナイトは中生代に繁栄した軟体動物として扱われています。
三葉虫やアンモナイトは代表的な化石として有名ですが、その種類が一万を超えるという話をすると多くの方が驚きます。アンモナイトの祖先はオルドビス紀に直角貝として出現し、古生代を生き延びて中生代になって大きく繁栄していきました。約四億年の時間の流れのなかで、殻の巻き方や形態が複雑化し、多様な種が出現と絶滅を繰り返してきたので、アンモナイトの種類を特定できれば地層の時代を決めることができるのです。
私の研究室にはたくさんのアンモナイト化石=写真はゴードリセラス(中生代白亜紀後期)=があり、地学分野の探究学習で使っています。
すでに絶滅してしまった生き物の姿や生態を復元するには、現在地球に生きている生物で近縁なものを見つけ、それとの比較から絶滅した生き物の謎を探ることが必要です。アンモナイトに近い生き物で現在地球に生息しているものにオウムガイがあります。オウムガイは海水中で浮遊して生きていて、巻いた殻をまとったタコやイカに似た生き物であることがわかっています。では、なぜアンモナイトとオウムガイは近縁な生き物といえるのでしょうか。それを探るために、アンモナイトとオウムガイの殻のつくりを調べ、似ているところや違うところを調べていきます。
さて、アンモナイトのなかまは恐竜とともに中生代末に絶滅してしまったのに、オウムガイの祖先はなぜ生き延びたのでしょうか。これも大きな謎ですが、アンモナイトは浅い海に生息していたため、天体衝突による環境の急激な変化に適応できなかったのに対し、オウムガイは深海で運よく生き延びたのかもしれませんね。